あとから伸びる子は、何が違うのか|コーチが16年見てきたこと
こんにちは、ぷでぃまです!
「伸びる子」の話を、先に結論からお伝えします。16年見てきて共通していたのは、足の速さではなく、失敗したあとに前を向けるかどうかのほうでした。
うちの子、これから伸びますか? まわりの子にどんどん抜かれていく気がして…。
この質問は、本当によくいただきます。そして聞いてくださる親御さんは、たいてい真剣です。ちゃんと見ているからこそ、心配になる。
ただ、正直にお伝えすると、目の前の1回を見ただけで「この子は伸びます」と言い切れることはありません。何か月見ても分からないこともあります。
それでも、あとから伸びていった子たちには、似ているところがありました。この記事では、それを順にお話しします。
この記事で分かること
- あとから伸びていった子に共通していたこと
- 伸び悩んでいった子に、何が起きていたか
- 早熟・晩成を、大人が決めつけないほうがいい理由
- 運動の自信は、どこから育ちはじめるのか
- 今日から家でできること
伸びていった子に共通していたのは、速さではありません

まず、学年は関係ありませんでした。低学年で伸びる子もいれば、高学年からぐっと変わる子もいます。
共通していたのは、次のようなところです。
- 負けず嫌いなこと … 順位より、自分が納得できるかどうかにこだわります
- 身長が低くても、大きい子に食らいついていくこと … 体格差を理由にしません
- 一生懸命やりながら、話もきちんと聞けること … どちらか一方ではありません
- 自分勝手ではなく、みんなのために動けること … 準備や片づけを引き受ける子です
最後の1つは意外に思われるかもしれません。ただ、現場で見ていると、周りに配慮できる子はよく伸びます。
練習中の様子でいうと、いちばん分かりやすいのは人の話を聞くときです。目を見て聞く子は、伝えたことがそのまま動きに入ります。
そしてもうひとつ。失敗を失敗のままにせず、前向きに改善していく子です。うまくいかなかったあとに、うつむいて終わるのか、「じゃあ次はこうしてみよう」と続けられるのか。ここが大きく分かれます。
速い子が伸びる子とは限りません。転んだあと、どんな顔で立ち上がるかを見てあげてください。
ただ、ここははっきりお伝えしておきます。こうした様子が見えたからといって、その子が伸びると言い切れるわけではありません。 私自身、伸びるかどうかの判断はつきませんし、どのくらいの期間見れば分かるという答えも持っていません。あくまで、あとから伸びていった子に多かった、という話です。
伸び悩んでいった子には、何が起きていたか

反対の話もしておきます。ただし、これは「その子がだめだった」という話ではまったくありません。起きていたことのほとんどは、まわりの環境の側にありました。
ひとつめは、追い抜かれた経験から諦めてしまうことです。
小学生のうちは、体の成長が早い子が先に速くなります。すると、あとから伸びるはずだった子が、追い抜かれた瞬間に「自分はここまでだ」と思ってしまう。この諦めが、いちばんもったいないところです。
ふたつめが、家庭の中の空気です。
親御さんが一番を求めすぎて、家でも怒ったり叱ったりする場面が多くなると、伸び悩む傾向がありました。そして周りと比べられ続けた子は、そのうち嫌になって辞めていきます。この「辞めていってしまう」という結末が、実はいちばん多いのです。
- 「◯◯くんに負けたの?」が家の会話に増えている
- 練習から帰ってきたあと、結果の話から始まる
- できたことより、できなかったことのほうが長く話題になる
心当たりがあっても、責める話ではありません。熱心に見ているからこそ、こうなります。 見ていない親御さんは、そもそも順位を気にしません。
だから、まず知っておいてほしいのはここです。伸びるかどうかを決めているのは、子どもの資質より、続けられる環境があるかどうかのほうです。
早熟か晩成かを、大人が決めつけない

体の成長が早い子と、ゆっくりな子がいます。これは能力の差ではなく、時期の差です。
日本スポーツ協会の「発育期のスポーツ活動ガイド」には、早熟な子どものその後の伸び代は小さくなる傾向にある、と書かれています(出典:公益財団法人日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」2021年)。早く大きくなった子は、その時点ですでに体ができあがっているぶん、あとの伸びしろが少なくなるということです。
逆に、小学生や中学生のころに体が小さかったり、筋肉がついていなかったりする子は、あとから伸びていきます。
私が現場で見てきた感覚では、大学生くらいのところで、早い子とゆっくりな子が並ぶタイミングが出てきます。ここは資料で確かめた話ではなく、私が見てきた範囲での印象ですので、そのつもりで読んでください。
大事なのは、そこまで諦めずに前を向いて続けられるかどうかです。
そして、ここがいちばんお伝えしたいところなのですが、「この子は早熟だ」「この子は晩成だ」と、大人の側が決めつけないでください。 決めつけた時点で、その子の将来の幅を大人が狭めてしまいます。
見てあげてほしいのは、いま速いかどうかではなく、その子がこれからどう考えていけるかのほうです。中学生からでも運動能力が伸びる話はゴールデンエイジは過ぎたら手遅れ?中学生からでも運動能力は伸びますに詳しく書きました。
最初に育つのは「できる」ではなく「認められている」

運動の自信のことを、専門的には「運動有能感」と呼びます。日本スポーツ協会のガイドでは、これは3つの要素でできているとされています(出典:公益財団法人日本スポーツ協会「発育期のスポーツ活動ガイド」2021年)。
- 運動能力が優れている、と思えること
- 練習や努力をすればできるようになる、と思えること
- 周りに認められている、と思えること
ガイドではこの3つが並べて書かれています。そのうえで、どれから育つのかについて、私の考えをお話しします。
私は3番だと思っています。まず認められて、楽しくなって、それから練習するようになる。この順番です。
順番が逆になっている場面を、現場でよく見ます。先に練習をさせて、できるようになったら認める、という形です。気持ちは分かるのですが、これだと多くの子は途中で止まります。
先に「見てもらえている」「認めてもらえている」があると、運動が楽しくなります。楽しいから、いろいろなことに挑戦するようになる。その結果として、練習や努力が続くようになります。
運動能力そのものには、もちろん生まれ持ったものもあります。ただ、どんなに能力が高くても、途中で挫折して、燃え尽きたようにやめてしまう子はいます。能力があることと、続けられることは別の話です。
ひとつ、分かりやすい見分け方があります。親御さんの目がないところで、楽しそうにしているかどうかです。
親の目があるときだけ楽しそうにしていない子は、たいてい、家で一番を求められています。そうなると、練習中も親御さんの顔色を見ながら動くようになる。そこから楽しさは離れていきます。
このあたりは、走り方の教え方の記事でも触れました。子どもへの走り方の教え方|言葉のかけ方で伝わり方が変わりますもあわせて読んでみてください。
今日から、家でできること

「うちの子、伸びますか」と聞かれたとき、私がいつもお伝えしているのは、実はとてもシンプルなことです。
- 家では怒らない、一番になれと言わない … 練習の場と家の役割を分けます
- のびのび過ごせる環境を整える … 家は、評価される場所でなくていいんです
- できたところを、きちんと褒める … 結果ではなく、できるようになったことのほうです
3つめが、いちばん効きます。前の節でお話しした「認められている」を、家庭の中でつくれるのは親御さんだけだからです。
ここで、私自身の話を少しだけ。
私は子どものころ、足はそれなりに速いほうでした。とはいえ、ずっと1番だったわけではなく、だいたい1番から3番のどこかです。背の順も後ろのほうでした。
祖父が野球をやっていて、一緒にキャッチボールをしたり、クラブチームに連れて行ってもらったりしていました。クラブチームのコーチに怒られたことはありますが、親や祖父母に怒られた記憶はありません。
いま振り返ると、私にはちゃんと逃げ道がありました。外でうまくいかない日があっても、帰る場所のほうは変わらなかった。だからスポーツを嫌いにならずに済んだのだと思っています。
だから、お子さんにも逃げ道をつくっておいてあげてほしいのです。
最後に、この記事でいちばん持ち帰っていただきたいことをお伝えします。お子さんを人と比べないでください。 まずは一人の子どもとして見てあげてください。
運動能力がどうこうより先に、スポーツが楽しいと思えること。楽しいから続けて、大人になっても体を動かしていられること。そこを目指してもらえたらと思っています。
そして続けていれば、運動が得意ではなかった子も、平均くらいまでは届いていく。これは私が現場で見てきた実感です。時間はかかりますが、そこは心配しすぎないでください。
今日できる一歩は、お子さんが今日できるようになったことを、ひとつ見つけて言葉にすることです。順位の話は、そのあとで構いません 🌱