逆上がりができない子へ|「怖い」をほどく鉄棒の教え方
こんにちは、ぷでぃまです!
逆上がりができないお子さんについて、先に結論をお伝えします。足りないのは腕の力そのものというより、体を鉄棒に近づけたまま回る感覚のほうです。
何回やっても回れなくて、もう鉄棒に行きたがらないんです…
夏休みの宿題や、2学期の体育で出てくる種目です。できないまま近づいてくると、親御さんのほうが焦ってきますよね。
でも、練習の回数を増やしても変わらないことが多いんです。理由は、つまずいているところが力そのものというより、体の位置と、こわさのほうだからです。
現場で見ていると、腕立てがまったくできない子でも、順番を踏むと回れるようになります。逆に、力の強い子がずっと回れないこともあります。
この記事では、鉄棒から遠ざかってしまった子を、もう一度近づけるための順番をお話しします。
この記事で分かること
- 回れない理由が、腕の力そのものとは限らないという話
- 「こわい」の正体と、それをほどく順番
- 逆上がりの前にやっておきたい、ぶら下がりの遊び
- 親御さんがやる補助のしかたと、触ってはいけない場所
- 夏の鉄棒で気をつけたい、やけどとマメのこと
回れないのは、体が鉄棒から離れているからです

まず、うまくいかないときに何が起きているかです。ほとんどの子に共通する形があります。
回れない子の腕は、まっすぐ伸びきっています。そして、おへそと鉄棒のあいだに、こぶし何個分もすき間が空いています。
この形だと、どれだけ強く足を蹴り上げても回れません。体が鉄棒から遠いほど、回すのに必要な力が大きくなるからです。
- ひじが伸びている … 腕は曲げたまま、体を引き寄せておく
- おなかが離れている … おへそを鉄棒にくっつけるつもりで
- あごが上がっている … 上を向くと、体は後ろに逃げます
「もっと強く蹴って」より「おへそを鉄棒にくっつけて」。声かけを変えるだけで回る子がいます。
鉄棒の高さも見てあげてください。目安は、立ったときにおへそから胸のあいだと言われています。高すぎる鉄棒は、体を引き寄せる前に足が浮いてしまいます。
はじめる前に、一つだけ。鉄棒は、落ち方によってはうでを痛めることのある種目です。下が土やゴムの場所を選び、まわりに物がないか見てから始めてください。
「こわい」の正体は、頭が下がって景色が回ること

次に、こわさの話です。ここを飛ばして練習させても、体はかたまったままです。
逆上がりは、途中で頭が下になります。ふだんの生活にはない向きなので、その一瞬で体が「危ない」と判断して、ぐっと縮こまるんです。
くるってなる時、下に落ちそうでこわい…
とても正直な感想です。そして、この感覚をごまかしたまま数をこなすと、鉄棒そのものが嫌いになります。
やることは、逆さの景色に少しずつ慣らすことです。低い鉄棒で足を地面につけたまま、ぶら下がって頭を下げてみる。それだけで十分です。
「こわくなくなってから回る」の順番を守ってください。こわさが残ったままの1回より、平気になってからの1回のほうが、ずっと近道になります。
逆上がりの前に、ぶら下がりで体を引き寄せる

三つめは、回る前の準備です。いきなり逆上がりの練習をしなくて構いません。
先に育てたいのは、腕を曲げて体を引き寄せる感覚です。これがないと、蹴り上げた足だけが空を切ります。
- ぶら下がり … 10秒ぶら下がる。まずはこれだけ。足が地面につかない高さのときは、大人が横についてください
- だんご虫 … ひじを曲げ、あごを鉄棒の高さに保ってキープ
- ふとん干し … おへその高さの低い鉄棒で、腰を鉄棒にのせて上半身を前に垂らす。手は鉄棒から離さず、大人が横について背中に手を添える
だんご虫は、逆上がりで必要な「引き寄せる力」がそのまま出てきます。ふとん干しは、体で支える感覚と、頭が下がる姿勢の両方に慣れる遊びです。
ふとん干しは、こわくなると急に手を離してしまう子がいます。必ず低い鉄棒で、大人がすぐ支えられる位置についてください。
ぶら下がるだけなら、できるかも
それで大丈夫です。回れないまま鉄棒に向かい続けるより、できることを増やしていくほうが、子どもは戻ってきます。
体を引き寄せるときは、おなかや背中の支える力も一緒に使います。そこがまだ育っていない場合は、姿勢が崩れる・すぐ疲れる子へ|体幹をやさしく育てるの遊びを先に入れると、鉄棒でもふらつきにくくなります。
補助は、背中ではなく「腰」を押す

四つめは、親御さんの手の使い方です。ここは間違えている方がとても多いところです。
つい背中を押してしまいますが、それだと体が前に倒れるだけで、うまく回るほうへは力が伝わりません。押す場所は、腰かおしりを、鉄棒の上に運ぶ方向へです。
- 立つ位置は、お子さんの横
- 手を当てるのは腰の後ろ側
- 足が上がったタイミングで、上へ持ち上げる
逆に、触ってはいけないのは首と頭です。回っている途中の首や頭を支えようとすると、無理な向きに力が加わります。手を当てるのは腰から下だけ、と決めておいてください。
回れたときの感覚を体に残すのが目的です。何度も補助してもらった子が、ある日ふっと自分で回ります。
もうひとつ使えるのが、タオルです。腰に長めのタオルを回し、両端を鉄棒ごと握らせると、体が離れない状態で回る感覚がつかめます。ゆるいと落ちるので、必ず大人がそばで見ていてください。
タオルは腰に回します。首やあごに近い位置には絶対に回さないでください。鉄棒は低めのものを選び、タオルの端は鉄棒ごと、両手でしっかり握らせます。このやり方は、大人がいないときには絶対にやらせないでください。お子さんが一人で鉄棒に行く日は、ぶら下がりだけにしておきましょう。
補助はできるだけ短い期間で減らしていきます。ずっと支え続けると、支えられている前提の動きが体に残ってしまうからです。
親御さん自身が鉄棒を苦手にしていても、まったく問題ありません。一緒にやるときの関わり方は運動が苦手な親でもできる、子どもと一緒にやる練習3つにまとめました。
夏の鉄棒は、熱さとマメに気をつけて

最後に、この時期ならではの注意点をお話しします。8月の公園の鉄棒は、思っている以上に熱くなっています。
日なたの金属は、直射日光でかなりの温度になります。練習に行くなら、朝の早い時間か、夕方。行ったらまず、大人が手で触って確かめてください。
- 鉄棒に触れて熱ければ、その日は場所を変える
- 下が土やゴムのところを選ぶ(コンクリートは避ける)
- 水筒を持ち、日かげでこまめに休む
服も見てあげてください。フードやひものついた服は、遊具に引っかかることがあります。
手のマメも、この種目にはつきものです。痛がったらその日は終わりにしてください。皮がむけた手で続けると、次から鉄棒を握ることそのものを嫌がります。
もし落ちて頭を打った、腕を痛がって動かせない、というときは、その場で練習をやめて、早めに病院で見てもらってください。
「あと1回だけ」で終わった日の記憶は、意外と長く残ります。楽しいまま終わるほうが続きます。
逆上がりは、できる日が突然きます。何か月もかかった子が、ある日いきなり回って、本人がいちばん驚いている。そういう場面を、現場で何度も見てきました。
だから今は、回れた回数を数えなくて大丈夫です。数えるなら、鉄棒に行った日のほうにしてください。
今日できる一歩は、涼しい時間に公園へ行って、10秒ぶら下がってみること。回らなくていいので、まず手が鉄棒に戻る日をつくりましょう 🌿