小学生の50m走、タイムを縮めるコツ|スタート・加速・維持の練習
こんにちは、ぷでぃまです!
50m走のタイムを分けるのは、才能ではなく走り方です。先に結論をお伝えすると、遅い子は力が足りないのではなく、一歩ごとに自分でブレーキをかけていることがほとんどです。そこは練習で変わります。
運動会が近づくと、うちの子は足が遅いからって、本人が先に諦めてしまうんです…
この時期にいちばん多いご相談です。指導歴は16年、JSPO公認の陸上競技コーチとして小中学生を見てきました。
この記事では、まず「今どのくらいなら普通なのか」を数字で確かめたうえで、スタート・加速・維持の3つに分けて練習をお話しします。
この記事で分かること
- 学年別の50m走 平均タイム(スポーツ庁の最新調査)
- 「1秒縮める」がどのくらいの大きさなのか
- 50m走を「スタート・加速・維持」に分ける考え方
- スタート姿勢と反応速度を上げる練習方法
- ストライドとピッチをそれぞれ伸ばす練習
まず、学年別の平均タイムを見てください
お子さんのタイムが速いのか遅いのか、実は親御さんも分かっていないことが多いです。まず全国の平均を置いておきます。
スポーツ庁の「令和6年度 体力・運動能力調査」による、50m走の平均タイム(秒)です。
| 年齢(およその学年) | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 6歳(小1) | 11.59 | 11.95 |
| 7歳(小2) | 10.69 | 11.07 |
| 8歳(小3) | 10.19 | 10.43 |
| 9歳(小4) | 9.70 | 10.04 |
| 10歳(小5) | 9.38 | 9.64 |
| 11歳(小6) | 8.90 | 9.24 |
出典:スポーツ庁「令和6年度 体力・運動能力調査」年齢別テストの結果(政府統計 e-Stat)
この表で、まず知っておいてほしいことが2つあります。
ひとつは、1学年上がるごとに0.4〜0.6秒ずつ速くなるということ。つまり「1秒縮める」は、およそ2学年ぶんの成長に当たります。1か月では届きません。半年から1年かけるつもりでいてください。
もうひとつが、同じ調査に載っている「ばらつき」の数字です。小学生の50m走は、同学年の中で0.8〜1.0秒ほど散らばっています。
平均より1秒遅い、はクラスでよくある範囲です。「うちの子だけ極端に遅い」と思っていた親御さんが、数字を見て力を抜けることがあります。
先に練習方法を読みたい方は【初心者向け】陸上競技 小中学生 短距離走を速くするコツ!へどうぞ。
50m走で速くなるために必要なこと

やみくもに走りこむ前に、「なぜ速く走れるのか」を考えてみましょう。理由が分かれば、同じ練習でも効果が変わってきます。
足の速い子、遅い子の違いとは?
走っているお子さんを横から見ると、3か所で違いが出ます。
| 見るところ | 速い子 | 遅い子 |
|---|---|---|
| 姿勢 | まっすぐ立っている | 腰が落ちて、く の字 |
| 膝 | 接地の瞬間に伸びている | 曲がったまま沈む |
| つま先 | 上を向いている | 下を向いている |
速い子は、体幹で体を支えられています。だから地面から返ってくる力を、まっすぐ前に使えます。
遅い子は関節が曲がったまま接地します。着いた足が体より前に出るので、一歩ごとにブレーキがかかる。頑張って走っているのに進まないのは、そのためです。
体幹の支えそのものが弱いと感じたら、姿勢が崩れる・すぐ疲れる子へ|体幹をやさしく育てるを先に読んでみてください。
「スタート」「加速」「維持」の3つに分けて考える
50m走をひとつづきに考えず、3つの局面に分けてみます。
- スタート = 1次加速局面
- 加速 = 2次加速局面
- 維持 = 最大疾走局面
図にすると、こういう流れです。

スタートでは、ピッチ(足の回転)が増えてスピードが上がります。スピードが0から一気に上がる場面。最初の10mは下を向いて、空気の抵抗(走るときに体を押し返す風)を少なくしてみましょう。
加速では、ストライド(1歩の幅)が大きくなります。下を向いていた頭を上げて、前を見て走ります。前を向いたら、背中をまっすぐにしたいい姿勢を意識してください。
維持では、スピードが最大まで上がっています。ここで力むと体が動かなくなり、逆にスピードが落ちてしまう。リラックスして、リズムよく走ることがポイントですよ。
ゴール直前は、スピードをゆるめないこと。小学生はゴールで走りを「止めてしまう」子が多いです。ゴールラインの2〜3m先にゴールがあると思って、走り抜けるよう声をかけてあげてください。
ここは、練習しなくても当日そのまま効きます。運動会の直前に何かひとつだけ、というときは運動会のかけっこ、直前1週間と当日にできることにまとめたので、そちらを見てください。
1秒縮めるためにまずやるべきこと

まず取り入れたいのは、この2つです。
- ジャンプトレーニング:縄跳び
- スプリントドリル(走るための動きづくり):上に跳ぶスキップ、前に進むスキップ
どちらも遊び感覚でできて、地面から反発をもらう感覚が身につきます。
ただし、始める前に体を温めておいてください。軽いジョギングと、体を動かしながら伸ばす動的ストレッチで5〜10分ほど。跳ぶ動きは、着地のたびにかかとへ負担がかかります。体が冷えたままだと、そこがケガにつながりやすいんです。準備運動と、終わったあとのクールダウンのやり方は【初心者向け】陸上競技の基本トレーニング|フォームと準備運動から始めようにまとめました。
ジャンプトレーニングの詳しいやり方はこちらから
足が速くなる自宅トレーニング|小中学生が親子でできる練習メニュー
スタートダッシュが速くなるコツ

スタートの姿勢がスムーズな加速をつくる
スタート姿勢が変われば、スムーズな加速につながります。
よくある失敗は、スタートしてすぐに前を見てしまうこと。体が起き上がり、風の影響をまともに受けてしまいます。
さきほど伝えたとおり、最初の10mは下を向いたまま。前傾を保って、ピッチ(足の回転)でスピードを上げていきましょう。
反応速度を上げる練習方法
反射神経のトレーニングとしては、変形ダッシュがおすすめ。
変形ダッシュとは、いろいろな姿勢から走り出す練習のことです。次のような姿勢から10mダッシュしてみましょう。
- うつ伏せ
- あお向け
- 正座
- 体育座り
スタートの合図は、笛や手をたたく音で。スタートダッシュでは素早い反応が求められます。変形ダッシュを重ねると、一歩目を早く出せるようになりますよ。
止まった姿勢から急に走り出す練習なので、体が温まっていない状態ではやらないでください。走る場所も先に確かめておくこと。まっすぐ走れて、周りに物がないスペースを選びましょう。
加速と維持でタイムを縮める!

50m走でタイムを縮めるには、スタートでしっかり加速し、そのスピードを最後まで保つこと。カギになるのが、ストライド(歩幅)とピッチ(足の回転速度)のバランスです。
ここでは、ストライドを広げる練習、ピッチを速くする練習、最後までスピードを落とさない秘訣を順に紹介します。
ストライド(歩幅)を広げる練習
ストライドとは、一歩で進む距離のこと。歩幅が大きいほど、少ない歩数でゴールにたどり着けます。ただし、むやみに広げるだけでは逆効果。バランスを崩したり、足が重くなったりすることもあります。
- もも上げ:ももが地面と平行になる高さまで上げて走ると、足を大きく前に出せるようになります。
- ハードルドリル:等間隔に並べたミニハードルをまたぐように走ると、自然に歩幅が広がります。
- バウンディング:大きくジャンプしながら走る動きで、地面を強く蹴る力を鍛えられます。
バウンディングとハードルドリルは、跳んで着地する動きのくり返しです。本数は欲張らず、フォームが崩れてきたらそこでやめてください。膝やかかと、腰に「痛み」が出たら、その日は中止です。筋肉痛とは別物です。成長期の骨や関節はまだ育っている途中で、大人と同じようには衝撃を受け止められません。痛みが数日続くようなら、自己判断せず整形外科などの医療機関に相談してください。低学年のうちは、大人がそばで見てあげると安心です。体力には個人差があります。体調のすぐれない日や持病がある場合も、無理はさせないであげてください。
ピッチ(足の回転)を速くする練習
ピッチとは、足の回転の速さのこと。速く走る力は「ストライド×ピッチ」のかけ算で決まるため、どちらか一方だけでは足りません。
- 短いダッシュ:10mや20mの短距離を、できるだけ速く足を回転させて走ります。
- 坂道ダッシュ:少し傾斜のある場所を走ると、自然と足の回転が速くなります。
- ミニハードル走:足をすばやく動かしながら、リズムよく走る練習ができます。
最後までスピードを落とさない秘訣
せっかく加速しても、ゴール前で失速したらもったいないですよね。スピードを保つポイントは3つあります。
- 体を前傾に保つ:後半で上体が起きすぎると、ブレーキがかかりやすくなります。
- 腕は力まず、リズムよく:疲れてくる後半こそ、腕振りを意識すると足も動きやすくなります。
- ゴールラインの先を見る:ゴール直前で気を抜かず、ラインの2〜3m先まで駆け抜けるつもりで走りましょう。
ポイントは、ストライドを広げる・ピッチを速くする・スピードを落とさない、の3つ。正しい練習を積み重ねた子ほど、タイムは着実に縮まっていきます。
まとめ:焦らないための時間の見積もり
50m走で押さえるのは3つです。スタートは前傾のまま10mまで下を向く。加速では歩幅を広げる。ゴール前は腕を力ませず、ラインの先まで走り抜ける。
そのうえで、最初の表に戻ってください。1秒縮めるのは、およそ2学年ぶんの成長でした。来週の運動会には間に合いません。逆に言えば、半年から1年の目で見れば十分に届く幅です。
直前に詰め込むと、たいてい当日に力んで遅くなります。本番が近いなら、練習を足すより整えるほうが結果は良いです。
本番までの日数で、やることは変わります。
- 1週間を切っている → 運動会のかけっこ、直前1週間と当日にできること
- 1か月ある → 運動会まで約4週間|逆算でつくる無理のない練習カレンダー
- リレー選手を狙っている → 運動会でリレー選手に選ばれたい子へ|夏のうちにできる準備
今日できる一歩は、お子さんの50m走のタイムを一度聞いてみることです。学校で測った数字を、この記事の表と見比べてみてください。思っていたより普通だった、ということがよくあります 🌱